「運営」についてはちょっと専門外なので(というか私も勉強中).
ちょっと割愛させていただいて.
今回は先日後輩の練習に行ってきたときに.
ふと思ったことを書いていきます.
前も言ったように,まずどういう形で点を取りたいのか.
もしくはどこでボールを奪いたいのか.
目指すカタチがあって,ブレイクダウンする.
これが一番重要.
なので,本来はパスキャッチひとつとっても.
何を目的にするのかでまったく違う練習になります.
いろんなチームで行われている十字パスだって.
意識次第では非常に高度な練習になります.
例えば,十字パスで左から来たボールを左でキャッチする→前に投げる.
という行為があります.
もしキャッチするサイドにDFがいたとしたら・・・
チェックで落とされてしまうかもしれません.
そこで,左から来たボールを右でキャッチする→前に投げる,という動作に変えてみると.
途端に難しくなります.
しかし,持ちかえる必要がなくなったり,チェックを受けなくなったり.
場面によってはかなり使えるスキルになります.
そういう意識の積み重ねがゲームに活きてくると思います.
上記のように,この意識の部分を練習のフォーカスポイントとすると.
同じメニューでもまったく違う練習になります.
そんなの当たり前,と思うかもしれませんが.
思いのほか徹底するのは難しい.
やはりずれてくる選手もいるからです.
だからフレーズを繰り返すことが必要だし.
ある日の練習では非常にポイントを絞った練習をすることになります.
というか,練習が終わった後に,今日は何にフォーカスしていたのか.
全員が答えられるくらい,口すっぱくして言うこともたまには必要です.
そしてそのポイントは2つ程度にするのがよいと思います.
自分でもプレーしながらよく思うんですが.
多いと忘れたり,混乱してしまうからです。
それでは練習の濃度が落ちてしまいます.
一番いいのは練習の形で選手がフォーカスポイントまで理解できることです。
この練習はこういう目的でやっているんだ.
それにこういう要素が加わっているということは...
というカタチで自動的に理解できるくらいまで持っていければ最高ですね.
自分の中でも目標にしています.
そうありたいものです.
また,選手の状況をみて,メニューに手を加えるとか.
フォーカスポイントを変えるとか,柔軟に対応するのが必要です.
選手も練習も試合も含めて,ラクロスは生き物みたいなもので.
適切に組み合わせていかないといけません.
最近一年生練習会のコーチをしてきましたが.
思いのほか習熟度が高くなかったので,メニューは変えずに.
要求することを変えました.
状況にもよりますが,段階に応じて変化をつける.
練習の内容をひとつ飛ばしにする(目標を定める).
そのあと戻る(目標を可能にする手段を身に着ける).
などなど.
練習の組み立て方はさまざまです.
正解はありません.
よりよいものならあるかもしれませんが.
今回また面白い本を見つけました.
敬愛するオシム元サッカー日本代表監督の本です.
「オシムのトレーニング」
監修:イビチャ・オシム , 著:千葉 善.
せばな.
]]>今回はコーチの役割のうち,「采配」についてお話します。
その前に前回の続きで.
「訓練」っておそらく,要素を突き詰めていくことで.
あんまり人によって大きな差異が出てこなくなる.
まぁ確かに細部にオリジナリティやらキャラクターが出てくるんだけど.
まったく新しい訓練とかを生み出せる人ってのはほんの一握り.
オシムとかモウリーニョとか.
走りの意味を気づかせたり,筋トレとスポーツを切り離さなかったり.
でもそういう人の真似をしていくことがとても重要だと思う.
まったくの無からなにかを作り出せる人なんて,いない.
だから模倣が必要なんだ.
その中で,自分だったらこうする,とかテコ入れをはかる.
そういうところからオリジナリティってものがでてくるのかと思います.
さて続いて,「采配」についてです.
「采配」には大まかに下記の3つの要素で構成されるのかと思います。
「準備」「判断」「引き出し(アイディア)」.
基本的にゲームってのは選手を送り出したら.
タイムアウトとハーフ・クオーター,フライでしかゲームに関与できない.
限られた回数でしか関与できないとすると.
ゲームに対する「準備」ってのが重要になってくる.
自分たちのプレーをすれば勝てるなんて.
そんなわけない.
ラクロスってのは,相手があってのスポーツ.
もちろん相手だって自分たちのプレーをしたい.
それを如何に思い通りにさせずに進めるのか.
相手を丸裸にして,戦うプランを構築していく.
その中で自分たちのプレーを織り込んでいく.
場合によっては戦い方を変える必要が出てくる.
そこで「判断」.
決断力にもつながりますが.
これには見抜く力というか理解力というか.
そういう察する力も含まれます.
このチームはこういうチームだと「判断」する.
この選手はこういう選手だと「判断」する.
試合中に戦術を修正していく「判断」をする.
試合中に指示を出すのは非常にタフな行動です.
リアルタイムで試合中のチームの悪い点を改善しなくてはならないからです.
そういったときには間違っていようと早い判断が必要になります.
早く判断すると,間違っていたとしても改善も早くなるからです.
まぁ時間帯によっては慎重になるシーンもあるのですが.
で,その判断を支えるのが「引き出し」.
いろいろなチームを観察したり.
いろいろな選手をみたり.
いろいろなゲームを観戦したり.
etcetc.
ゲームで起こっている状況とまったく同じ状況を作ることはできないけど.
似たようなシチュエーションを経験することで対応力が身につく.
100点の解答ではないかもしれませんが.
7〜80点の解答を早く出す,ということが重要なのかなと思います.
これは「訓練」にも当てはまることだけど.
試合とまったく同じ状況を練習で作ることはできないけど.
実際は似たようなシチュエーションに当てはめてプレーをしている.
だから,そういう面では引き出しを増やすための練習ってのが.
あってもいいのかな,と思います.
と,今回はここまで.
せばな.
]]>どうも,毛です.
今回は前回に引き続き,コーチとは何ぞや,という話の.
コーチの役割についての大まかな概要をお話しようと思います.
さて前回,コーチの仕事には「訓練」「采配」「運営」があるという内容を書きました.
「訓練」はいうまでもなく練習そのものであり.
選手を訓練に巻き込む,向上心を持たせるという意味合いもあります.
「采配」はゲーム・練習における関与の仕方になります.
「運営」はメインの役割ではありませんが.
特にラクロスにおいては学生メインということもあり,運営側の組織が.
しっかりしていない場合があるので,その一助となり.
アドバイスを与える大人としての役割があってもよいのではないかと思います.
まぁもちろん,コーチがチームからどこまで権限を移譲されているのかにも拠ると思います.
運営から方針まで完全に掌握しているのか.
試合に出る選手まで決定することができるのか.
方向性の提示や,ブレの修正を行うだけなのか.
ただのアドバイザーなのか.
コーチを引き受ける際にはこの辺の線引きをはっきりさせたほうが.
あとあとややこしいことにならずに,いいかとおもいます.
さて,まずは「訓練」についてです.
ある程度持論を含みますが.
「訓練」を構成する要素は次の3つに集約されるかと思います.
「フィジカル(身体能力)」「スキル(技術)」「タクティクス(戦術)」.
基本的には「訓練」ってのは上記の3つを向上させるために行います.
で,よくあるのが,冬にフィジカル練,春から基礎技術,リーグ前になって戦術練って流れ.
ただ実際のところ,選ぶ戦い方によって,要求されるスキルは異なるはず.
だから基本的にはある時点でのチームの戦力等を鑑みて.
全体の戦略・スケジュールを決め,チームとしての戦い方(点の取り方・守り方:戦術)をはっきりさせないと.
いつまでになにができるようになっている必要があるのか.
どんな練習をしていいのか明確にならないと思います.
例えば.
今年のゴーリーはセーブ能力が高いから.
ゴーリーセーブからのブレイク(速攻)を中心に点を取ることを主眼におくとすると.
ある時点での,練習・練習試合でターンオーバー回数のうち,ゴーリーセーブが何回なのか.
ゴーリーのセーブ率は?.
TOからのOFの成功率は?.
その原因は?.
etcetc...
と考えたときに.
目標とする試合には何%成功してほしいのか.
そのためにはどんな練習が必要なのか.
それともこのままいけば達成できるのか.
このままでは達成できそうではないから,その年の戦術を変更するのか.
とロジカルに柔軟に考えていく.
もちろん,基礎技術としてのパスキャッチとかシュートとか.
大事だからまずやるべきなんじゃないか?.
という反論もあるかもしれませんが.
同じ基礎練をするにしても,目標がわかっている場合と.
ただパスキャッチ練のために練習するのとでは.
効果は違ってくると思います.
ただラインドリルをやってショルダーキャッチをするよりも.
ブレイクを成功させるために,DFから開始し.
セーブからの切り替えに加えて,ゴーリーからパスを投げ.
全力疾走しながらキャッチしたほうがより実践に即したスキルが習得できるはず.
だから戦術の選択から必要なスキルを特定し.
それに見合う練習メニューを考える.
という順番がいいのかな,と思います.
そしてそれが成功した場合を選手にイメージさせて.
練習にのめりこませる.
中期的・長期的に戦術を完成させるために.
期間ごとに目標を区切り,問題があれば修正していく.
最近よく聞く,【戦術的ピリオダイゼーション】というやつに近いのかな.
これを繰り返していくのが「訓練」ということになります.
と,今回は「訓練」についてお話しました.
続きはまた次回.
ではでは今日はこの辺で.
せばな.
前回は自分が指導者を始めるきっかけについて書いてみました.
まぁ実際は,成り行きでコーチを始めたり,後輩に頼まれて始めたり.
という人の方が多いと思うんで,あんまり当てにならないかもしれませんが.
ということで今回は,コーチとは何ぞや,というところを簡単に書いていきます.
私のような若輩者が語るのもなんだか変な気もしますが.
それはそれ,自分の経験をさらに若年層に伝えていくことも必要だと割り切って書きます.
まぁあとで思うことがあればちょいちょい改訂してきます.
さて本題ですが.
そもそも「コーチ」とはなんなのか.
よく聞くのはハンガリーの町の名前から来た馬車の代名詞(コーチ)が語源で.
オックスフォード大学で家庭教師を,目的地へと運ぶ馬車になぞらえてコーチと呼ぶようになった.
また,馬車は運転が難しく,訓練が必要であることから「訓練」という言葉にも用いられるようになった.
というのが通説のようです.
まぁそんなことは置いておいて.
ともかく「(スポーツ等において他人を)訓練・指導する人」と考えれば問題ないでしょう.
元の語源を考えると「目的を達成するために」という文言も付け加えるとよりよいのかもしれないけれども.
そして,コーチの仕事は大きく分けて「訓練」「采配」があると思います.
ラクロスにおいては組織がしっかりしていない場合が多々あるので.
「運営」を加えても良いかもしれません.
まぁその辺の内容は次回にお話しするとして.
今回はそれ以前の心得の部分をお話します.
実際のところ,多くの場合には依頼若しくは任命されてコーチをすることになります.
引き受けるということは,「目的を達成させる義務」が発生するということです.
そして特に若いコーチには「目的を達成させる義務」に対する「責任」という感覚が少し薄い傾向にあるなと感じています.
(もちろんこれまであった中には,非常に責任感が強い子もいたけども).
もちろん最初は何をしていいのかわからないと思うし.
練習をどう組み立てればよいのか,いつまでに何を出来るようになればよいのか.
選手に何を伝える必要があって,何を伝える必要がないのか.
考えることはいろいろあります.
だからといって,わからない,で済ますのは,はっきり言って選手に失礼です.
そこを甘えているのが大学院生などのOBコーチにたまにいます.
先輩だから言いづらいし,後輩だから少し強く出る.
プレイングコーチ・アシスタントコーチだからあまり深く考えない.
それじゃあ失礼でしょ.
わからないなら,わからないなりに人に聞けばいいんだし.
他のスポーツではどうしているのか,本を読めばいいんだし.
ともかく,考えることを放棄することは罪だと考えています.
私もコーチを始めるにあたり,兎に角たくさんの本を読みました.
他のスポーツの本や,指導論的なもの,教育論的なもの.
たくさん人にも頼りました.
自分の指導コンセプトに穴がないかとか.
どういう視点で選手をみているのかとか.
そういったなけなしの頭を振り絞った経験が.
今の指導者としての自分を形成しているのだと思います.
それが自分の矜持です.
そういう努力を抜きにした場合.
自分の選手としての能力・経験に拠った指導になります.
そうなると,自分の能力以下の人間を育てることが出来ない.
アドバイスできない.
ひいてはチームも自分がいたときよりも劣化したものになる.
ということを意味します(多少極端ですが).
ですが,指導者と選手に求められるスキルは違います.
選手・チームの強みや足りないものを第三者の視点で見つけ出し.
練習メニューに組み込み.
ベストなタイミングで声をかけ.
叱咤し.
激励し.
共に喜ぶ.
指導者には自分よりも才能あふれる選手を育てることができます.
それに気づいて欲しいなと思います.
今回はコーチの心得の部分をお話しました.
次回はもう少し踏み込んで,役割の話をしたいと思います.
それでは今回はこの辺で.
せばな.